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2015年2月16日 (月)

ヤマドリのゆめ 山の中の音

   目を覚ますと昨日の沢に下りた。もう少し先まで行ってみたかったからだ。

3月だし渡り歩いてくる雌鳥を待ち、縄張りを守らなければならないのだけれど、
雌鳥が来そうな予感がしない。あの沢で僕は今まで一人だった。
僕が暮らしている沢は短く水の量もそれほど多くない。でもこの沢は水の量が
多く比較的緩やかに流れている。幾つか沢が流れ込んでいた。右手の山は
陽当たりが良かった。雑木林が多く、人の手入れが行き届いている様子の杉林は
無かった。   枝沢が流れ込むところが少し開けたところに雑木林になっている
ところがあった。大きな木に枯れた蔓が垂れていた。僕はその下で餌を探す
ことにした。風が無い静かな陽だまり。水が流れ落ちる音が聞こえる以外耳に
入る音が無い。足で落ち葉を掻き分けながら隠れた餌を探した。
鞘の中に少し大きな平べったい豆があった。僕は1つ丸呑みにした。 突然、
左手の斜面の杉林の中でカケス達が騒ぎ始めた。
「何っ?」
僕は首を高くしてカケス達が騒ぐ方を見た、ら、豆が丁度よく胃に入った。
少しすると、ガサガサと、何かが枯れ枝を踏む音が聞こえた。そしてその音は
こちらに近づいてきた。僕は、ドドッ、ドドッと羽を振るわせた。
「イノシシだ!」
大きな黒い体がノッサノサと下ってきた。時より鼻で枯葉を掻き起こしては匂いを
嗅ぎながら。雄の一頭者だ。90kg以上はあるだろうか?僕はもう一度ドドッ、
ドドッと音を立てた。 イノシシはそのまま僕には関心も示さず沢を渡り右手の
斜面を登って行った。
「でっかいキンタマだなー!」
小さな尻に大きさが不釣り合いなものが付いていた。
「猪 金太 また会おう。」
カケス達はギャァギャァ鳴きながら暫くイノシシの上を枝渡りしながらついて
行った。そして僕はいつもの沢に帰ることにした。   何度か羽を使い漸くこの沢に
下りた場所に着いた。このままでは暗くなる前に寝床に着けそうにないので足で
登るのを止めた。今日は結構疲れてたようでちょっとした倒木を飛び越えるにも
嘴を使っていた。寝床に就くと直ぐに眠り込んだ。

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