« ヤマドリのゆめ むかし話 | トップページ | 寿司の輸出1 »

2015年2月19日 (木)

ヤマドリのゆめ 決意

   僕は雨の降る中、旅に出ることにした。もうこの沢には戻らない。春になったし

旅先で餌に不自由することはないだろう。目的地はおじいさんの言っていた沢だ。
おそらくこの前行った沢の奥だ。住みかとしてもいい沢だった。この前行ったところ
までで先住者はいなそうだったし。昨日砂肝の中はいっぱいにしておいたから、
今日は一気にあの猪金太にあった場所まで行こう。
そう思うと“えいえいおう”よろしく大きく母衣打ちをした。
   猪金太に会ったところまで来た時はもう西に日が落ちかけていた。僕は右斜面を
登り寝床を探した。慣れないところでは逃げ場所を考えておかなければいけない。
直ぐに下れるところを探そう。 しばらく登っていると、バキッ、バキッと音がして
きた。また猪金太か!と思い目を向けると今度はオスのシカが降りてきた。
立派な3段角を持ったイケメンだった。シカは僕の方へ降りてきたのでドドッと挨拶
した。シカは僕に気付き除けながら
「初めてですね。こんにちは。」 と声を掛けてきた。僕も
「はじめまして。」と挨拶をした。
「久しぶりにヤマドリさんに会いましたよ。半月ほど前にこの奥で会ったきりですかね。」
「半月前ですか。そこには何羽か居たのですか?」
「僕が見たのはメス鳥で2羽居ましたよ。」
「他に近くで見たことはありますか?」
「この沢の下では無いけど、上流ならあるよ。沢山は居ないけどね。」
「じゃ、白いヤマドリを見たことがありますか?」
「白いヤマドリ?白いヤマドリなんて居るのかい?」
「いゃ、いいんです。噂で聞いただけですから」
僕は軽く会釈をして斜面を登った。希望が持てること聞いた。
もしかしたら嫁さんが見つかるかもしれないぞ、と赤い顔が緩んだ。
そうだ、彼は三段シカオさんてあだ名にしよう。

« ヤマドリのゆめ むかし話 | トップページ | 寿司の輸出1 »

ヤマドリのゆめ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/112848/58992597

この記事へのトラックバック一覧です: ヤマドリのゆめ 決意:

« ヤマドリのゆめ むかし話 | トップページ | 寿司の輸出1 »