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2015年2月10日 (火)

ヤマドリのゆめ 春うらら

  新芽膨らみはじめた小枝から差し込む陽射しの中で微睡む昼下がり。

羽を少し立てふっくらと一回り大きくなった体はその陽を浴び紅く輝いでいた。
麓から聞こえて来たチェーンソーの音に目蓋を下げたが、うつらうつらと
再び目蓋を上げた。
  あとひと月もすれば山桜が咲き始める、三月半ば過ぎ。今年も春を迎えられた。
僕は眠りの中で散歩に出かけた。
  麓が一望できる尾根に出た。平地の真ん中には大きな川が右から左に流れていた。
川の両岸には田んぼが並び所々に畑があり、菜の花が伸び始めていた。
足下の沢はどの辺りに繋がっているのだろう。
  僕は翼を広げ青空に飛び立った。
トンビのように旋回しながら麓に何があるのか目を凝らした。そしてしばらく
大空を飛ぶことを楽しんだ。今まで上昇気流に乗って飛ぶことなんてしたことが
なかった。
「きっとこの翼は僕のものではないんだろう。」
「そうだ、もっと高く飛んでみよう。」

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